どんな病気?
「インスリンの作用不足」で起きる生活習慣病
2型糖尿病(以下糖尿病)は血液中のブドウ糖(血糖)が正常より多くなる病気です。初期の頃は自覚症状がほとんどありませんが、血糖値が高いまま放置すると、徐々に全身の血管や神経が障害され、いろいろな合併症(網膜症、腎症、神経障害、壊疽、心筋梗塞など)を引き起こします。
すい臓で作られるインスリンというホルモンには、血糖値を下げる働きがあります。糖尿病は遺伝や高カロリー、高脂肪食、運動不足などにより引き起こされる「インスリンの作用不足」が原因と考えられています。糖尿病では「インスリンの作用不足」を改善し、血糖値を上手にコントロールすることが大切です。
糖尿病の治療法
治療の目的
糖尿病治療の目的は、高血糖が引き起こすいろいろな合併症を予防する、または悪化を阻止することです。
ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、食前と食後も含めた過去1〜2ヶ月間の血糖値の状態を評価する方法です。HbA1c6.5%未満がコントロールの目安になります。
治療は基本的に食事療法、運動療法、薬物療法の3つを組み合わせて行われます。
これらはどれも重要ですが、なかでも食事療法は治療の土台となります。
食事療法のポイント
食事の量や栄養素の配分を調節することにより、血糖をコントロールすることができます。
運動療法や薬物療法を行うときにも食事療法は必ず一緒に行います。
自分に適切な、1日の必要なエネルギー量を知り、とり過ぎに注意しましょう
適切な摂取量は、個々の患者さんによって異なりますので、主治医に相談しましょう。
適切なエネルギー量の中で炭水化物、たんぱく質、脂質のバランスをとり、適量のビタミン、ミネラル、食物繊維を摂りましょう。目標は1日30品目以上です。
不規則な食事は血糖値の変動を大きくします。食事は1日3回、規則正しく、ゆっくりとよく噛んで食べましょう。
運動療法のポイント
運動療法は、糖尿病のさまざまな症状を改善します。
しかし、進行した合併症のなかには運動によって症状を悪化させてしまうものもあります。
運動療法を行う際は、まず相談いただき、自分に合った運動と運動量を決定し、無理のない範囲で継続することが大切です。
有酸素運動(徒歩、水泳、ジョギングなど)を中心に、エネルギーをしっかり消費しましょう。少し汗ばむ程度の運動量で20分以上、週に3〜5回、食後1〜2時間に行うのが効果的です。
薬物治療のポイント
食事療法と運動療法を行っても血糖コントロールが不十分な場合、薬物療法を併用します。
薬物療法には、飲み薬とインスリン注射薬があります。
病態に合わせた飲み薬を組み合わせたり、インスリン注射薬を併用することもあります。
インスリン注射薬は種類によって効き始める時間や効果が持続する時間が異なり、回数、量、タイミングが異なります。必ず医師から指示された通りに使用しましょう。